頚椎ヘルニアで使用される薬とは?
頚椎ヘルニアで悩んでいる方の中には、薬物療法で痛みの軽減をはかる方もいるでしょう。薬を服用することで、痛みを和らげることができるのであれば、頚椎ヘルニアで悩んでいる人にとって選択肢の一つといえます。このページでは、頚椎ヘルニアの痛み軽減が期待できる薬を二つ紹介します。
リリカ
リリカってどんな薬?
リリカは腰や足にある末梢神経や全身などに起こる、うずくような痛みを和らげる効果が期待できます。脳や脊髄の神経にて、神経細胞を活性化させる「カルシウムイオン」、痛みを伝える神経伝達物質の放出を抑制。鎮痛作用として機能し、痛みが抑えられるという仕組みです。
アメリカのファイザー株式会社が開発した薬で、世界120ヵ国(2012年7月)で承認されています。2010年6月には帯状疱疹(たいじょうほうしん)の治癒後に起こる神経痛の薬としても注目を集めました。神経の働きを抑える薬なので、頸椎ヘルニアにおいても効果が期待できます。ただし、神経伝達物質を抑制することにより、これまでにいくつかの副作用が確認されました。服用にあたっては医師の判断を仰ぐと共に、副作用にも注意しておかなければなりません。
リリカの服用を気を付けなければならない人
リリカの服用に関して、気を付けなければならないのは以下の項目に該当する人です。
- 腎機能障害のある方
- 重度のうっ血性心不全の方
- 血管浮腫の既往歴のある方
この他にも、高齢がリリカを服用する場合も気を付けなければいけません。高齢者は腎機能が低下している可能性が高く、腎機能が低い状態で服用すると副作用を発現しやすくなる可能性があります。頸椎椎間板ヘルニアは高齢者でも悩まされるだけに、リリカを頼るのであれば、医師への相談が必要です。
リリカの副作用
抱えている症状によって、発生する副作用は異なります。これまでにリリカの服用によって起きた副作用は、以下の症状が確認されました。
- めまい
- 昼間よく眠気に襲われる
- むくみ
また、少数ではありますが意識消失や心不全、腎不全も確認されています。特にめまいや傾眠といった副作用は、日常生活や仕事への影響だけでなく、時に重大な事故やリスクを引き起こす原因になるかもしれません。例えば運転中に副作用が発生した場合、ハンドルやブレーキの操作ができずに大事故へと発展するリスクが考えられます。副作用は必ず起きるとは限りませんが、いつ起きるか分からないものです。「起きるわけがない」ではなく「起きるかもしれない」と考え、服用中は安静にするようにしましょう。
アナフィラキシーも確認されている
0.1%未満ではありますが、臨床データにて全身へのアレルギー反応も確認されています。アナフィラキシーはアレルギー反応の中でも重症に分類されるため、場合によっては命に関わる問題へと発展しかねません。可能性は低いものの決して起こらないとは言い切れないので、服用時には様子を見て、以上を感じた際はすぐに服用を中止しましょう。
併用を避けるべき薬もある
リリカは副作用だけではなく、他の薬との併用で相互作用を起こす場合があります。リリカとの併用によって大きなリスクを引き起こす可能性があるのは、以下の薬です。
- 中枢神経抑制剤
- オキシコドン
- ロラゼパム
- 血管浮腫を引き起こす薬剤
- 末梢性浮腫を引き起こす薬剤
中枢神経抑制剤は併用により、呼吸不全や昏睡がみられたという報告が記録されています。鎮痛剤であるオキシコドンや抗不安薬として用いられるロラゼパムとの併用では、認知機能障害や粗大運動機能障害を起こす可能性があるため併用は避けてください。アルコールでも同様の作用が起こる恐れがあるため、リリカを服用する際には飲酒も控えたほうが良いでしょう。
副作用として血管のむくみが起こりうるアンジオテンシンの場合は、むくみ発症のリスクを高めるおそれが懸念されています。同じくむくみが起こりうる薬としてチアゾリジン系薬剤が挙げられますが、他に起こりうる症状として体重増加や細胞外液の増加を誘発するかもしれません。それが原因で心不全を発症、あるいは悪化させてしまうリスクが懸念されています。
体重増加の可能性について
リリカには、体重が増加してしまう副作用も確認されています。急激に増加するのではなく、長期間の服用によって増加することが懸念されているため注意が必要です。リリカによる薬物療法を行う際は、定期的に体重を計測するようにしましょう。適度に運動することも大切です。また、筋肉や骨などに結合組織障害を発症する可能性もあります。結果として筋肉痛や筋力低下だけでなく、背中の痛みや筋肉の硬直などが起こるかもしれません。服用して力が前よりも衰えた気がする、筋肉が痛むなどの症状があれば、副作用が起きている可能性があります。
呼吸器および縦隔障害の副作用
呼吸困難や鼻炎などの副作用も確認されています。その他にも鼻の粘膜が乾燥したり鼻づまりを起こしたりもするため、息苦しさやむずがゆさを感じるようであれば服用を控えましょう。
鼻咽頭炎(びいんくうえん)
鼻の中にある粘膜に起こる炎症です。リリカの副作用以外にも、ウイルスやタバコが原因で起こります。
咽喉絞扼感(いんこうこうやくかん)
のど周辺に起こる症状で、違和感や不快感がある状態のことです。どれほどの頻度で起こるのかは分かっていません。
排尿に関しても影響がある可能性が
尿失禁、排尿困難、尿閉、乏尿といった副作用も懸念されています。排尿は食事、ライフスタイル、補給数分量、気温など症状の原因が異なるものだけに、リリカの副作用だと気付かない可能性も十分にあるのが難点です。リリカを服用するようになってから排尿に関する症状が現れた場合は、医師に相談みると良いでしょう。状態に応じて、薬の原料や服用を中止が必要となります。
意識消失で転倒し、大けがを負うおそれも
高齢者がリリカを服用し、副作用で意識を失った後に転倒。それが原因で骨折を起こしたという例もあります。もし服用する場合は、外出や運動を控えてください。
可能性は低くても、決して0ではない
臨床試験等において、リリカの副作用は複数確認されています。低血糖もその一つです。0.3%未満なので、必ず起こるわけではありませんが、0%ではありませんので「絶対に低血糖にはならない」とは言い切れません。他にも肝機能障害が0.4%、心不全が0.3%、腎不全が0.1%未満、さらには0.3%以上1%未満の確立で起こりうるとされる副作用に、以下の症状があります。
白血球減少症
白血球が減少し、免疫機能が低下する症状です。インフルエンザや麻疹でこの症状がみられることもあります。
構語障害(こうごしょうがい)
発音がはっきりしない、ろれつが回らない症状を指します。脳卒中や認知症でも起こりうる症状なので、おかしいと感じたら病院で診断を受けるようにしましょう。
鼓腸(こちょう)
腸内にガスが溜まり、お腹が膨れます。自覚症状として腹痛がみられ、X線検査により鑑別が可能です。
協調運動異常
全体的に体の動きがぎこちない、手先での作業がしづらくなるなどの症状を指します。ボタンがかけられない、箸が使いづらいなど日常生活に支障をきたすのが難点です。
嗜眠(しみん)
意識障害の一つで、眠っている状態が続きます。高熱を出している時や徹夜をした後にも起こりうる症状で、強い刺激を与えないと覚醒せず、覚醒してもまた眠ってしまうのが特徴です。
このほかにも健忘症や消化不良、胃炎や胃不快感などの症状が挙げられます。
妊婦や産婦、授乳婦への投与
妊婦、あるいは妊娠している可能性のある女性や授乳中の女性がリリカを服用する際は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与するとされています。この点は医師の裁量に委ねる部分となりますので、信頼できる医師に相談しましょう。ただし、妊娠中の投与に対する安全性は確立されておらず、動物実験の段階では低体重や骨化の進行が遅れるなどの胎児異常が報告されていますので、妊婦は服用を避けるのが無難です。
数字が不明ながらも可能性のあるもの
具体的な数字は判明していないものの、懸念される症状はいくつかあります。
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)
肺の中にある「間質」と呼ばれる部分に炎症が発生。結果として間質が厚くなり、血液中に酸素が取り込みづらくなる病気ます。症状として、息切れや咳が起こります。
皮膚粘膜眼症候群
皮膚や粘膜に水泡ができ、目に結膜炎や角膜炎を発症します。重症化すると失明する恐れもあるため、少しでも異常を感じたら早めに病院へ行き診断してもらいましょう。
メチコバール
メチコバールって?
メチコバールは、しびれや痛みが起こる末梢性神経障害に対して処方される薬です。神経のしびれや痛みを抑えることから、同じような症状がみられる頸椎ヘルニアへの効果も期待されています。また、服用によりビタミンB12を補えるため、貧血の緩和を目的としても使用されています。
メチコバールの副作用について
数値としては低いですが、副作用の症状が報告されています。そのため、服用に際しては副作用についても注意しておかなければなりません。総症例15,180中の146例で、副作用が確認されています。確率にすると0.96%と極わずかなものですが、「絶対にならない」と断言はできません。メチコバールの副作用として、挙がっている症状は以下になります。
- 食欲不振
- 悪心、嘔吐
- 下痢
- 発疹
過敏症
アレルギー体質の人に多いとされる症状で、体が薬に対して敏感に反応することで発疹を起こします。服用を始めてから吹き出物がみられるようになった場合は、服用を控えましょう。場合によってはリリカと同じく、薬の増減もしくは服用自体の中止が必要となります。
可能性が低くても注意は必要
メチコバールの症例から導き出された副作用の数値は、0.96%ととても低い数字です。数字の上では、100人メチコバールを服用し、1人が副作用になるかならないかです。そのため、リリカと比べればそこまで気にする必要はないとの声もありますが、自分自身がその「100人に1人」になる可能性があるかもしれません。0%ではない以上、可能性は「ある」ことなので、副作用についても決して他人事だとは思わずに意識することが大切です。
メチコバールは基本的にビタミンB12なので、リリカと比べれば大きな副作用がある訳ではありません。しかし、どのような薬にも共通していることですが、一度に大量に摂取・服用すれば摂取過剰で副作用、あるいは体に異変を及ぼす可能性もあります。その点は気を付けておかなければなりません。
また、水銀と接触した場合、有害なメチル水銀を作り出す場合があります。そのため水銀や化合物を扱う職業従事者の場合、長期間の投与は避けてください。
メチコバールを服用する際の注意点は?
服用する際の注意点として、包装ごと服用しないようにしましょう。実際に起こった事例として、包装ごと飲み込んでしまったため、包装の角が食道に刺さり合併症を併発してしまったという報告があります。自分が飲まなくても、高齢者の家族が服用する際は包装ごと飲み込んでしまわないよう、包装から出したかを確認するようにしましょう。
また、保管に関しては直射日光や湿気を避けての保存が望ましいです。メチコバールは光によって分解されるため、含量が低下するおそれがあります。直射日光が当たらない場所に保管する、開封後はすぐに服用するなどしましょう。
リリカ、メチコバールの処方は医師と相談をしましょう
頸椎ヘルニアは薬物療法により、痛みを緩和することができます。しかし、薬には副作用のリスクや保管方法など注意しなければならない点があるので、自分の判断だけで服用を決めるのは控えてください。かかりつけの医師や専門医に相談したうえで、自分自身が服用したいか、他に方法はないかを確認してからにすると良いでしょう。
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